グローバルナビゲーション
市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
インターネット、ブロードバンド加入者数及び普及率
- 米国のブロードバンド市場では、ADSLによるインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)とケーブル事業者の熾烈な競争が展開されているが、2010年9月末時点で米国世帯の71%は固定インターネットに接続しており、加入者数は前年の7,930万人から8,560万人に増加している。このうち52%はケーブルモデム、37%がADSL、6.4%が光ファイバによる接続サービスを利用している。一方で、FCCが2011年5月に発表したブロードバンド敷設に関する報告書(Broadband Deployment Report)によると、高速インターネットへのアクセスがない米国民の数は920 万世帯以上の2,620万人にのぼることが明らかになっている。
- なお、近年、大手通信事業者が光ファイバ網への投資を活発化していることから、光ファイバ網の加入世帯数は増加している。ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)評議会と市場調査会社RVAの共同調査によると、2011年3月現在、北米でエンド・トゥ・エンドに光ファイバで接続されている世帯は前年比22%増の710万世帯となり、FTTH回線が到達している世帯も前年比17%増の約2,090万世帯となっている。
出所:ITU統計
携帯電話市場
携帯電話加入者数及び普及率
出所:ITU統計
主要携帯電話事業者の変遷
- 移動体通信事業者団体であるCTIA(Cellular Telecommunications & Internet Association)によると、2011年上半期における移動通信サービス全体の売上高は、約837億US$であった。また、CTIAによると、2011年6月現在の移動通信サービス加入者数は、約3億2,290万、前年同期から7%増となり、普及率は初めて100%を超え、102.4%に達した。平均料金は月額47.47US$で、前年同期比1%弱の減少となった。スマートフォン、移動通信対応PDAの数は9,580万台で、同57%増の伸びを記録したほか、データ通信対応機器の総数は同5%増の2億7、830万台に達した。無線ネットワークのデータ通信量は3,412億メガバイトと同111%増の爆発的な伸びを示しており、これに対処するため、2010年6月から2011年6月までの1年間にCTIAの加盟事業者はネットワークやインフラなどの資本投資に前年同期比28%増の275億ドルを費やしている。
次世代移動体通信の動向
- 2010年に米国における4Gネットワークの敷設展開は急速に進み、2011年はWiMAXとLTE(Long Term Evolution)が主要なネットワークプラットフォームとなる様相が高まっている。業界では、WiMAX技術を基盤とするモバイルブロードバンドネットワークで業界にいち早く参入したクリアワイヤ、商用LTEネットワークの最大手メトロPCS(MetroPCS)をはじめ、2015年までに米国人口の92%をカバーするLTEおよび衛星のハイブリッドネットワーク構築を目指す卸売通信事業者のライトスクエアード(LightSquared)などの企業の動向が注目されている。また、クリアワイヤの過半数の株式を所有するスプリント・ネクステルに加え、他の大手移動電話事業者も、4Gネットワークの構築に力を入れている。
固定電話市場
固定電話回線数及び普及率
- RBOCのベライゾン、SBC(当時)、クエスト(当時)を含むILECは1,297社、コムキャスト(Comcast)等を含むCLEC及び競争アクセス事業者(Competitive Access Providers:CAP)は813社、地域再販事業者は129社、IP電話事業者は334社、その他の市内通信事業者は186社で、市内通信事業者は合計2,579社に上る(すべて2008年末時点)。
- 近年は、ILEC、CLECともに回線数が減少傾向にある。2010年6月末現在、市内電話サービスの競争状況は、ILECの交換回線・IP電話の利用が約1億239万、ILEC以外のCLEC等の交換回線の利用が約4,878万(総加入者数の32.3%)となっており、CLEC等の市場シェアは増加している。
- 長距離通信市場シェアは、1995年には世帯ベースでAT&Tが74.6%を占めていたが、同シェアは減少を続け2005年には18.1%となった。しかし、2005年から2006年にかけて合併が進展し、一端は同社の市場シェアは拡大したものの、その後減少に転じ、2008年12月末には従来の市内通信事業者であるAT&Tの長距離市場シェアは26.1%、ベライゾンの市場シェアは23.2%となった。
- 長距離通信事業者数は、旧大手長距離通信事業者であったAT&TとMCIを含むIXC(Inter Exchange Carrier)の合計が237社、オペレータ・サービス事業者等が31社、長距離再販事業者が654社、その他の長距離通信事業者が228社(IP電話サービス事業者含む)、衛星通信事業者が45社、プリペイド・カード事業者が121社で、計1,316(すべて2008年末時点)となっている。
出所:ITU統計
放送市場
地上テレビ
- 2011年9月末現在、テレビ局の総数は1,782である。うちVHF局が466、UHF局が1,316となっている。非商業放送と商業放送が存在するが、サービスは商業放送を中心に行われている。
- 主な地上テレビ放送事業者として、商業放送では4大ネットワークであるABC Inc.(ABC)、CBS Television Network(CBS)、National Broadcasting Company(NBC)及びFox Broadcasting Company(Fox)がそれぞれ所有・運営局やネットワーク系列局を傘下にしているほか、各地域に独立系の放送局が存在する。また、2006年1月には、CBS傘下のUPN(United Paramount Network)とタイムワーナー傘下のWB(Warner Brothers)が傘下の地上放送テレビ局等の経営資産を統合して、第5の地上放送ネットワークとなるCWが誕生した。また、2006年9月には、第6のネットワークとしてFoxが新しく「myTV」ネットワークを開始している。
衛星放送
- 1994年のディレクTV(DirecTV)のサービス開始で本格化した商業衛星放送も、その後M&Aを経て、ディレクTVグループ(DirecTV Group)とエコスター・コミュニケーションズ(EchoStar Communications)の2社体制となっている。
- ディレクTVグループは、1977年にヒューズ・エレクトロニクス子会社として設立され、1994年6月にサービスを開始した。2004年3月に、Hughes Electronic Corporationから社名変更した。その後、衛星を共有していたUSSB、更には競争事業者のプライムスター(Primestar)を買収し、衛星放送の最大手となった。
- エコスター・コミュニケーションズは1980年に衛星テレビ事業に参入し、1996年3月に「ディッシュ・ネットワーク(DISH Network)」のブランド名でDBSサービスを開始し、全米にサービスを提供している。なお、2008年1月、エコスター・コミュニケーションズとディッシュ・ネットワークの2社に分社された。
ケーブルテレビ
- 難視聴地域向けの事業として発足したが、1970年代のケーブル専門チャンネルの登場や、通信衛星を利用した番組供給によって普及が進んだ。全米ケーブル電気通信協会(NCTA)によると、基本ケーブルサービスへの加入者数は、2011年9月末現在、5,830万、そのうちデジタルケーブルサービスへの加入者数は4,570万である。ケーブルテレビ事業はフランチャイズ方式で、ケーブルテレビ施設を運用するシステム事業者と、通信衛星を使って番組を供給するケーブル・ネットワーク事業者によって構成されている。システム事業者で、多数のフランチャイズを所有するものをMultiple System Operator(MSO)という。1990年代後半のM&Aの進展で、加入者数が1,000万を超えるMSOも出現している。
重要政策動向
国家ブロードバンド計画の策定
- 2009年2月に成立した「米国再生・再投資法」では、FCCに対して、法施行後1年以内に国家ブロードバンド計画を策定し、それを含む報告書を連邦議会に提出するよう義務付けている。2010年2月、FCCは国家ブロードバンド計画(概要)を発表、翌3月に報告書を議会に提出した。国家ブロードバンド計画は、全部で17章から構成されている。第2章において、議会に勧告する今後10年間の長期的な六つの目標を提示。また、第5章では、今後5年間で300MHz分、10年間で500MHz分の周波数を確保し、モバイル・ブロードバンドへ割り当てることを勧告している。
- 2020年までに達成すべき6つの目標
- 1億世帯以上が、下り速度が実測100Mbps以上、上り速度が実測50Mbps以上の安価なアクセスを持つべき。
- 米国は、世界最速かつ世界で最も規模の大きな無線ネットワークを持ち、モバイル・イノベーションで世界一となるべき。
- すべての米国人は、堅牢なブロードバンド・サービスへの安価なアクセス手段を持ち、自らの選択に従いサービスに加入する手段と技能を持つべき。
- すべてのコミュニティは、学校、病院、政府機関の建物といったアンカー組織において1Gbps以上の安価なブロードバンド・サービスへのアクセス手段を持つべき。
- 米国人の安全を確保するため、すべての一次応答者は全国規模で相互運用可能な無線ブロードバンドの公共安全ネットワークへのアクセス手段を持つべき。
- 米国がクリーン・エネルギー経済において世界をリードすることを確保するため、すべての米国人は自身のリアルタイムのエネルギー消費を追跡し、管理するためブロードバンドを利用すべき。
ネット中立性
- オバマ政権は、インターネット上での自由競争による便益を確保するため、ネット中立性原則を強く支持する立場を明らかにしている。FCCは、こうした政権からの後押しを受け、2009年10月にはネット中立性を確保する規則制定手続を開始した。しかし、連邦D.C.巡回区控訴裁判所は2010年4月、コムキャストが提起したFCCによる是正命令の再考を求める訴訟において、FCCはISPのネットワーク管理行為を規制する権限を例証できなかったとして、FCCの命令を無効化する判決を下した。
- FCCは、インターネット規制権限を確保する手法について業界関係者らと模索。2010年12月、FCCはネット中立性原則を法制化するための決定を採択した。同決定では、大手ISPがインターネットのゲート・キーパーとしてユーザが利用できるコンテンツやサービスを支配するようになることを防止することが目的となっている。一方で、電気通信・ケーブルテレビ事業者が有償で回線容量を優先的に割り当てることも認めている。
PROTECT IP法案、オンライン海賊行為防止法案
- 2011年5月に上院にPROTECT IP法案(The PROTECT IP Act:PIPA)が、2011年10月には下院にオンライン海賊行為防止法案(Stop Online Piracy Act (SOPA)が提出された。SOPA及びPIPAは、オンライン著作権侵害行為を防止するための法案であり、法執行機関と著作権者が著作権侵害行為に対して行使し得る権限が大幅に拡大される内容となっている。これらの法案は、著作権侵害コンテンツへのアクセスを遮断する措置を求めており、ネットの検閲にあたるとして、WikipediaやGoogle、Mozillaなど多数の企業や組織が抗議活動を展開している。



