グローバルナビゲーション
市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
インターネット、ブロードバンド加入者数及び普及率
- ブロードバンド接続技術の主流はDSLであり、ブロードバンド市場全体の約90%を占めている。Deutsche TelekomのDSLサービスにおける市場シェアは、2004年のDSL再販売の開始と2006年のIPビットストリーム・アクセスの提供開始を契機に、減少傾向が続いており、2001年時の約97%から2009年末には約51.3%に低下した。また、DSL回線の内訳を見た場合、Deutsche Telekomによる小売回線の割合は約51%、Deutsche Telekomの卸売回線の再販は約6.3%、ビットストリーム・アクセスは約3.6%、競争事業者による小売回線は約38.8%となっている。このような競争事業者には、Vodafone(旧Arcor)、HanseNet(Telecom Italiaが2009年11月にTelefonicaに売却)、Telefonica O2 Germany、ケルン州を中心に事業展開するQSCなどが存在する。
- ケーブル・ブロードバンドの市場シェアは約9.2%にとどまっており、普及しているとは言えない。電気通信事業の民営化後、Deutsche Telekomはケーブルテレビ事業を引き継いだが、DSLの代替技術となるケーブル網への投資に消極的であった。また、Deutsche Telekomは2001年から2003年の間に欧州委員会及び連邦カルテル庁の勧告に従い、ケーブルテレビ事業を地域ごとに分割・売却したが、基幹ネットワーク(ネットワークレベル3)とラストワンマイル(ネットワークレベル4)の間で事業者が違うという状況を作り出し、これがケーブルテレビのデジタル化の遅れ、ひいてはブロードバンドやIP電話などの新規サービス提供の遅れにつながった。ただし最近ではケーブル網のデジタル化も進展し、トリプル/クアドルプルプレイサービスを提供するケーブルテレビ事業者が一般的となり、通信事業者とケーブルテレビ事業者の間の競争は激化している。Kable Deutschland、Kable BW、UnityMediaといったケーブルテレビ事業者は100Mbps級のブロードバンド・サービスを提供している。
- 光ファイバ・サービスについては、Deutsche Telekomが光ファイバとVDSLのハイブリッド方式によるFTTC網の構築を進めている。このほかにHanseNetとNetCologneがFTTBの商用サービスを開始、また、Vodafone(FTTH)やVersatel(FTTx)は実証試験を開始したところである。
出所:ITU統計
携帯電話市場
携帯電話加入者数及び普及率
- ドイツの移動体通信市場は欧州ではロシアの次に大きい。携帯電話加入者数は2010年末の時点で132%とドイツの人口を超えている。しかしながら、欧州ではさらに高い携帯電話の普及率を誇る国もあり、(フィンランド163%、イタリア150%、オーストリア145%、ギリシャ141%、イギリス137%など)、ドイツの携帯電話市場にはまだ成長の余地があるとみられている。
- ドイツで移動体通信事業者Vodafone、T-Mobile、E-Plus(蘭KPNモバイルの子会社)、Telefonica O2 Germany(スペインの通信大手Telefonicaの完全子会社)の4社である。2011年3月時点で、各社の市場シェアは順番に、約33.5%、31.5%、19.1%、15.8%である。このほかに50社を超える仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator:MVNO)が参入しているが、既存大手4社の脅威となりうるのはfreenetMobileのみである。
- VersatelやNetCologne等の固定ネットワーク事業者がMVNOサービスに参入するケースや、大手スーパー・マーケット・チェーン(Aldi Talk、Tchibo、REWE、Quelle 等)、新聞社(Bildmobil)、金融機関(Sparkassen)等の異業種事業者が参入するケースも多く見られる。日本の通信事業者ではNTTドコモが2009年9月に海外におけるプラットフォーム事業基盤の確立を目的に、モバイル・コンテンツ配信プラットフォーム事業者であるnet mobile(ネット・モバイル)に対し株式公開買付けを実施し、ネット・モバイルの発行済み株式の約80%を取得した。2010年8月にはネット・モバイルを介して、フランスでの漫画コンテンツ配信事業を立ち上げた。
出所:ITU統計
固定電話市場
固定電話回線数及び普及率
- 音声通話は、従来の固定回線(PSTN/ISDN)から移動電話、又はVoIPへの移行が加速している。2010年末のPSTN/ISDN回線数は3,102万2,000、VoIP回線数は767万8,000となった。また、Deutsche Telekomのシェアが年々減少する一方で、競争事業者は2007年に18.7%だったシェアを2010年に約35.2%までに拡大した。
- 2009年末現在、約110社の競争事業者が、独自の固定通信網を構築するか、又はDeutsche Telekomのアンバンドル・ローカル・ループを利用してサービスを提供している。主な競争事業者としてTele2、Vodafone(固定通信子会社Arcorと統合)、QSC、Versatel(旧Tropolys)、freenet(モビルコム及びdebitelを買収)等がある。このほかにケーブルテレビ事業者のKabel BW、Kabel Deutschland、UmityMedia等が事業を展開している。
出所:ITU統計
放送市場
地上テレビ
- 公共放送のARD(9つの州放送協会で構成される連合体)とZDF(第2ドイツテレビ)が全国放送を実施している。商業放送ではRTL GroupとProSiebenSat.1 Media等が放送を行っているが、送信には主に衛星とケーブル網を用い、地上波は補完的に利用されている。
- ドイツの場合、地上放送に依存する世帯の割合が約11%と極めて低いため、地上デジタル放送への移行は比較的スムーズに完了した。2002年11月に、ベルリン/ポツダム地区で、地上デジタル放送の本放送が開始された後、州ごとに地上デジタル放送が導入され、2008年11月、国内のデジタル化完全移行が終了し、地上アナログ放送は廃止された。
衛星放送・ケーブルテレビ
- 2010年6月現在、約3,746万のテレビ視聴世帯のうち、ケーブルテレビ視聴世帯が約51.4%、衛星放送が約42.8%、地上テレビが約11.1%、IPTVが約2.3%を占めている。 公共放送と商業放送の多くがAstra衛星を使用して無料放送を行っている。有料の衛星プラットフォーム事業者にはPremiere、Arena Sat、entavioの3社がある。一方ケーブルテレビ大手はKabel Deutschland(KDG)、UnityMedia、Kabel BWの3社である。
重要政策動向
ブロードバンド戦略
- 2009年2月、連邦政府は、第2次景気対策パッケージの一環として、「連邦政府のブロードバンド戦略」を公表した。その目標は、(1)2010年までにブロードバンド空白地域を解消、(2)2014年までに全世帯の75%で50Mbps以上のブロードバンドを利用可能、(3)2018年までに全世帯が50Mbps以上のブロードバンドを利用可能にするというもの。2009年6月には、アナログ跡地の活用法として、790〜862MHzを無線ブロードバンドに割り当てることを承認。電波の割当ては、1.8GHz、2.1GHz、2.6GHz帯の周波数とあわせて、2010年4月に競争入札により実施された。
「ドイツデジタル2015」の閣議決定
- 2010年11月、連邦政府は2015年までのICT戦略「ドイツデジタル2015」を閣議決定した。ICTはハイテク立国ドイツの発展にとって重要な役割を果たしており、全産業の生産性向上の鍵を握っているとの認識の下、次の目的を掲げた。(1)競争力の強化、(2)デジタルインフラストラクチャーの整備拡充、(3)利用者保護、(4)研究開発の拡充及び市場への製品の投入、(5)新世代メディア技術の利用に関する訓練・能力向上、(6)ICTの徹底的な利活用等。
- 具体的な政策目標・対策として、(1)独のデジタル化を通じた新たな成長・雇用確保(2015年までにICT分野において3万人の雇用の確保等)、(2)将来のデジタルネット整備(ブロードバンド政策、周波数政策等)、(3)安全性と信頼性の確保(ネット上の人格権の保護、消費者保護、知的財産権の保護等)、(4)研究開発(モノのインターネットにおける専門的知見の活用、3D技術等)、(5)教育、メディアリテラシー等の向上(職業訓練への活用、市民のデジタル能力の向上等)、(6)市民に近い行政のためのデジタル化(電子政府、eヘルス等)を列挙した。このうちブロードバンド政策については、上記のブロードバンド戦略を踏襲した内容となった。



